簡潔ながら至極的確な角栄評である。これから角栄について研究したい方には是非とも一度目を通して頂きたい。
もっと言えば、竹下一人だけのクーデターではなく金丸信、竹下登、小沢一郎の『金竹小』、これはそれぞれ三人の名字の頭文字を取って『この三人を合わせてようやく角栄一人分』と言う意味の造語であるが、正にその角栄一人分がごっそり抜けた事によって角栄の求心力は弱体化した。 竹下らが出奔してから中曽根が辞任するまでの期間は二年、その間にしっかり準備した竹下は宮沢喜一、そして現総理大臣の父である安倍晋太郎を破り総理の椅子に就いたのは周知の通り。安倍晋太郎が総理になれなかった遠因でもある(宮沢はその後総理に就任した)。

これは私見だが、角栄が失脚したのはひとえに「自滅」「自業自得」だと思う。角栄はいきなり力を失った訳ではなく各方面からのヘイトを溜めに溜め、緩やかに失脚したように思える。 頭の回転の速さとずば抜けた行動力の持ち主が必ずしも一国の首脳に相応しい訳ではない、と言う意味では角栄も石原慎太郎も共通しているのかもしれない。石原が総理になれなかったのも、そう言う部分を見透かされていたからではないか。

何にせよ石原慎太郎が執筆した角栄の「小説」を鵜呑みにするくらいなら、それこそ立花隆なり早坂茂三なり読んだ方が余程有意義である。